ギリシャ神話:怪物スフィンクスの物語

スフィンクスって、どんな怪物?


タケル「なあミコ、今日さ、神話の本ちょっとだけ見たんだけどよ、スフィンクスってやつ、めっちゃ怖そうじゃん。あいつ、何なんだよ?」

ミコ「おおっ、スフィンクスに興味持った?あのね、あれってライオンの体に女性の顔をした怪物のことなの。だけど、実は国によってちょっとずつ違うのよ」

タケル「え?国によって?スフィンクスってギリシャ神話のやつだろ?」

久遠先生「ギリシャ神話にもスフィンクスは登場するけれど、元々のスフィンクスのイメージって、エジプト神話に由来してるのよ。ギリシャのスフィンクスは、エジプトの影響を受けて姿を変えた怪物なの」

ミコ「やっぱり!エジプトのやつは、有名なピラミッドの前に座ってる、あの巨大な石像よね?人間の顔にライオンの体、でも別に悪いやつじゃないって聞いた」

久遠先生「そう。エジプトのスフィンクスは、王の守護者としての意味を持っていたの。ところが、ギリシャではそれが変わってしまって、恐ろしい怪物として語られるようになったのよ」



ギリシャのスフィンクスは謎かけ好きな怪物だった


タケル「えー!守ってくれるヤツだったのが、いきなり悪モンになるのかよ。なんでそんなふうに変わったんだ?」

久遠先生「文化が違えば、同じ姿の存在でも意味が変わることがあるの。ギリシャでは、スフィンクスはテーバイという町の近くに現れて、人間に謎かけをする怪物として登場するのよ」

ミコ「その謎って、有名なやつでしょ?『朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足のものは何?』ってやつ!」

タケル「あー、それ聞いたことある!でも答えわかんねぇな…なんだっけ?」

久遠先生「正解は『人間』。赤ちゃんの頃はハイハイで四本足、大人になると二本足、お年寄りになると杖を使って三本足になるという謎なのよ」

タケル「ああー、なるほど!でもそんなの、間違えたらどうなるんだ?」

久遠先生「その人はスフィンクスに食べられてしまうの。彼女は謎かけに正解する者が現れるまで、人々を次々に襲っていたのよ」

ミコ「テーバイの町の人たち、めちゃくちゃ困ってたってこと?」

久遠先生「そう。そしてそこに登場するのが、英雄オイディプスなのよ」


オイディプスとスフィンクスの対決


タケル「あ、オイディプスって聞いたことある!確か…親を殺しちゃったりするヤバいやつじゃなかったっけ?」

ミコ「そうそう、ギリシャ神話でも超悲劇的な人生送ってるの。でもその前に、スフィンクスを倒すっていう武勇伝があるのよ」

久遠先生「オイディプスは旅の途中でテーバイの町に立ち寄って、スフィンクスと対決するの。彼はその謎に見事正解して、スフィンクスは自ら崖から身を投げて死ぬのよ」

タケル「うわ、マジかよ!なんか、あっけない最期…」

ミコ「でも、この謎に答えられたのがすごいってことよ。オイディプスはその功績でテーバイの王になるの」

久遠先生「ただ、それがまた新たな悲劇の始まりになるのよね。けれど、スフィンクスの話だけを見れば、オイディプスは町を救った英雄として語られるの」


スフィンクスの姿の意味と象徴性


タケル「でもさ、なんでスフィンクスって、女の顔にライオンの体とか、羽がついてたりするの?そんなの現実にいないだろ」

久遠先生「神話の怪物には、いろんな生き物の特徴を組み合わせた姿が多いの。スフィンクスもその一つ。ライオンは強さ、女性の顔は知性、そして翼は神秘性の象徴なの」

ミコ「つまり、スフィンクスはただの怪物じゃなくて、ある種の『知の試練』みたいな存在ってことよね?」

久遠先生「その通り。彼女の存在は、単なる脅威ではなく、人間の知恵や成長を試す試練そのものなの。謎を解けた者だけが次の段階に進める、そういう通過儀礼的な意味もあるのよ」

タケル「へえ~、オレ、ちょっとスフィンクスがカッコよく思えてきた…いや、でもやっぱ怖いかも…」


歴史的なスフィンクス解釈と文化の混ざり合い


ミコ「でもさ先生、ギリシャのスフィンクスって、どうしてあんなに性格が悪くなったのかしら?エジプトのと全然違うよね」

久遠先生「とても良い質問ね。ギリシャのスフィンクスは、もともとはエジプトから伝わったスフィンクス像を見た人たちが、それに自分たちの文化的イメージを加えて解釈し直した結果とも言えるわね」

タケル「つまり、他の国のものを勝手にアレンジしちゃったってこと?」

久遠先生「文化的な影響って、そうやって変化していくの。ギリシャでは神話の中で“試練”や“悲劇”を重視する傾向があったから、スフィンクスもそれに合わせて“謎解きの怪物”として登場したのかもしれないわね」

ミコ「そう考えると、スフィンクスって悪者ってよりも、物語に深みを与える存在なのね」

久遠先生「そうよ。ギリシャのスフィンクスは、人間の知恵の限界を試し、答えを出すことで成長を促す、いわば“導く怪物”なのかもしれないの」


スフィンクスの現代的な影響と創作の中の存在


タケル「でもよ、スフィンクスって今でもゲームとかマンガとかに出てくるじゃん?なんで今でも人気あるんだろ?」

ミコ「やっぱり、姿がインパクトあるし、謎解きってテーマもワクワクするし…あと、どこか人間っぽいところもあるのが魅力じゃない?」

久遠先生「スフィンクスのような存在は、古代から現代に至るまで“知恵”と“恐怖”の象徴として描かれてきたの。物語の中で試練を与える存在は、いつの時代も必要とされているのよ」

タケル「へえ~。ってことは、オレが昨日やってたゲームで、スフィンクスが『この問題に答えろ』とか言ってきたのも、昔からの伝統を引き継いでるってことか?」

久遠先生「まさにその通り。ギリシャ神話の要素は、今のゲームや物語にしっかり息づいてるの。だからスフィンクスも、古代からずっと人の想像力を刺激してきた存在なのよ」


まとめ:スフィンクスの魅力とは何か?


ミコ「結局、スフィンクスって“怪物”っていうだけじゃなくて、“問いを投げかける存在”ってことよね?」

久遠先生「そう。彼女は私たちに『あなたはちゃんと考えて生きてる?』と問いかけてくる存在とも言えるのよ」

タケル「オレ、今日初めてスフィンクスのことちゃんと知ったけど、なんか…ただの敵じゃないんだな。ちょっと尊敬するかも」

ミコ「オイディプスの話も悲劇だけど深いし、スフィンクスって、ただの怖い怪物じゃないってわかって、面白かったわ」

久遠先生「そう思えるようになったなら、スフィンクスの問いに、ちゃんと向き合えたってことね」

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