エジプト神話『外伝』:スフィンクスの謎と物語

スフィンクスの正体って、何?

タケル「なあ、スフィンクスって、けっきょく何なんだ?ピラミッドの横にいるやつ。あれってライオン?それとも人?」

ミコ「そういう素朴な疑問、大事だと思うよ。私も昔、神様だと思ってた。でも、神話的にはどんな存在なのか、ちゃんと知りたいかも」

久遠先生「いい質問ね。スフィンクスはね、簡単に言うと“神でも人でもない存在”なの。身体はライオン、顔は人間っていう形が多いんだけど、それって“力”と“知恵”の象徴をあわせもつって意味があるのよ」

タケル「えっ?じゃあ、あのスフィンクスって、強くて頭もいいってこと?」

久遠先生「そう。エジプトでは、王の守護者って意味もあるの。顔の部分は王の顔になってることが多いわ。ギザの大スフィンクスは、たぶんカフラー王の顔をしてるって言われているの」

ミコ「あ、それ知ってる。鼻がないのが有名だよね」

タケル「あれ、誰が壊したの?」

久遠先生「一番有名なのは、ナポレオン軍の兵士が大砲で撃ったっていう話だけど、それはあまり証拠がないの。実際には、もっと昔のイスラム教の時代に、偶像崇拝を禁じる考えから壊された可能性があるって言われているの」


スフィンクスって神様じゃないの?

タケル「え、でもさ、人間の顔しててライオンの体で、王を守ってて…って、なんかもう神様じゃん」

ミコ「でも、名前が『スフィンクス』ってギリシャ語じゃなかった?」

久遠先生「いいところに気づいたわね。実は“スフィンクス”って言葉自体は、ギリシャ人がつけた名前なの。エジプトでは“シェセプ・アンフ・ラー”って呼ばれていたの。意味は“ラーの生ける像”」

タケル「ラーって太陽の神?」

久遠先生「そう。スフィンクスは、太陽神ラーの代理人っていうか、王と神をつなぐ存在として作られているの。だから、神そのものではなく、神に近い“象徴”って感じかしら」

ミコ「スフィンクスって、パズルみたいな謎を出すイメージもあるけど、それは?」

久遠先生「それはギリシャ神話のスフィンクスの話ね。エジプトとギリシャでは、同じ名前でも中身がぜんぜん違うのよ」

ギリシャ神話のスフィンクスとの違い

タケル「ギリシャにもスフィンクスいるのかよ!?」

ミコ「知ってる。オイディプスに謎かけするやつでしょ?」

久遠先生「その通り。ギリシャ神話のスフィンクスは、テーバイの町を脅かす怪物で、人間の言葉を話し、謎を出して解けなければ殺すっていう存在なの。体はライオン、顔は女、そして鷲の翼を持っているのが特徴」

タケル「うわ、めちゃくちゃ怖いじゃん…」

ミコ「そのスフィンクスが出す謎が“朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足のものは何か?”だよね。答えは“人間”」

久遠先生「そう。赤ん坊は四つん這い、大人は二本足、老人は杖をつくから三本足。オイディプスが正解して、スフィンクスは自滅したの」

タケル「でもさ、それってエジプトのスフィンクスと全然キャラ違うな」

久遠先生「そこが面白いのよ。エジプトのスフィンクスは“守る者”。ギリシャのスフィンクスは“試す者”なの。どちらも“知恵と力”の象徴ではあるけれど、使い方が違うのね」

スフィンクスの謎の部屋って、本当にあるの?

タケル「なあ、よく聞くんだけどさ、スフィンクスの下に“秘密の部屋”があるって話、本当なのか?」

ミコ「それ、ロマンあるよね。アトランティスの記録が隠されてるとか言われてるやつでしょ」

久遠先生「確かに、スフィンクスの前足のあたりに“空洞”があるのは、レーダー調査で確認されてるの。でも、エジプト政府は掘らせないのよ」

タケル「なんで!?掘ればすべて分かるんじゃね?」

久遠先生「それがね、考古学の世界では“過去への敬意”も大切なの。簡単に壊したり掘ったりすると、後世に残すべき情報が消えてしまう可能性があるから」

ミコ「でも、“眠れる知識”って感じがして、わくわくする」

久遠先生「そうね。しかも、一部のオカルト的な理論では、アトランティス文明や宇宙人の記録がそこにあるって言う人もいる。信じるかどうかは人それぞれだけど、確かに魅力的な謎よね」

スフィンクスはいつ作られたの?

タケル「ぶっちゃけ、あれって何年前に作られたの?」

久遠先生「定説では紀元前2500年ごろ、カフラー王の時代って言われているけれど、それより古いって主張もあるの」

ミコ「スフィンクスの浸食のしかたを見て“これは雨風じゃなくて水による浸食”って考えた学者もいたよね?」

久遠先生「その通り。アメリカの地質学者ロバート・ショックが、そう主張しているの。もしそれが正しければ、スフィンクスは紀元前7000年以上前の建造物になる可能性もある」

タケル「7000年前!?そしたら、ピラミッドより古いってことじゃん」

久遠先生「そう。でも、それを証明するにはもっと調査が必要なの。だから、スフィンクスには“時代的な謎”も隠されているわ」

スフィンクスは何を見つめているのか?

ミコ「スフィンクスって、じーっと東の方向を見てるよね。あれって意味あるの?」

久遠先生「あるの。スフィンクスは“太陽の昇る方向”、つまり“再生と希望”の象徴を見つめているのよ。エジプトの宗教では、太陽は死と復活のサイクルを象徴していたから」

タケル「じゃあ、毎日、太陽の誕生を見てるってことか」

ミコ「なんかロマンチック…」

久遠先生「そういう感性、神話を読み解くには大事なのよ。エジプト人たちは、毎日を“神話の中の一日”と重ねて生きていたの。だからスフィンクスは“時間”そのものの門番でもあるの」

まとめ:スフィンクスは“門”だった?

タケル「結局さ、スフィンクスって何だったんだ?神でもない、怪物でもない。けど王を守ってて、太陽を見てて、地下に秘密があるかもって…」

久遠先生「まとめると、スフィンクスは“門の守護者”なの。時間の門、知恵の門、死と再生の門。エジプト神話の中で、すべての“変化の入口”に立っている存在なのよ」

ミコ「それって、人生の節目にもついてくるみたいで、ちょっと感動する…」

タケル「オレはスフィンクスの前、通りたくないかも…ヤベェ謎とか出されたら、絶対答えられないし」

ミコ「タケルには“オレの得意なのは力だ!”って言えばいいんじゃない?」

久遠先生「スフィンクスは力と知恵、両方を持つ者。だからこそ、今でも“最古の謎”として私たちを魅了し続けてるのよ」

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