【都】怪談: おじさんの部屋
おじさんの部屋って、なに?
ハルカ「ねえねえ!聞いて。あたし今すっごい気になってる話があるんだよね!」
レイジ「うわ、今度は何だよ。また怖いやつ?」
ハルカ「いいねぇ、レイくん!大正解!なんかね、『おじさんの部屋』ってやつ。知ってる?」
レイジ「…あー……なんか言葉だけ聞いたことある気がけど、『おじさん』って、もうタイトルからしてどっちに転んでもヤバそうじゃん。で、それってなに?実話系?」
ミヤコ「そうね。この話は一応“実話怪談”って形で語られてるけど、”作り話”として聞いても十分に気味が悪いの。設定も構成も不気味だし、何より人間の怖さが際立ってる感じね」
ハルカ「そうそう!なんかね、ただの霊とかじゃないんだよ? ちょっと"人"の怖い話って感じでさ!」
レイジ「うう……今回も結局、こうやって始まるんだよ……」
語られる「おじさんの部屋」のストーリー
ミヤコ「まず話の全体像をざっくり話しておくとね。この物語の”語り手”は中学生ぐらいのときに、仲良しだった友達の家に遊びに行ったの。で、なぜかその友達の家には“入っちゃいけない部屋”があるっていう話を聞いた」
ハルカ「で、その部屋が“おじさんの部屋”って呼ばれてるんだよね」
ミヤコ「そう。そこには“おじさん”がいるって言われてるの。でもそのおじさん、実際には家族の誰かってわけじゃないみたいなの。誰かわからないけど、その“誰か”が、ずっと部屋にいるってだけで」
レイジ「え、じゃあ……その友達の家族は、おじさんを”飼ってる”的な……?」
ハルカ「普通はそう思っちゃうよね。でもさ、その子の親も『あの部屋には近づいちゃダメ』って言うだけで、説明はしないんだよ。なんか、めっちゃ不自然じゃん?」
ミヤコ「不自然な空気がずっと流れてる家、って設定ね。そしてその家で“ある日突然”、語り手がその部屋の前で何かの“気配”を感じてしまう。そして、語り手がノックもしてないのに、突然ドアが開いたの。開いたドアの先、部屋の中をのぞくと――部屋の奥に、明らかにこちらを見ている人がいる。でも表情も体の感じも、どこか“普通じゃない”」
レイジ「うわぁ…もうやめようぜ、その先聞いても良いことじゃん、絶対……」
ハルカ「それで、その後にさ、"語り手"が今回“見たこと”を絶対にその家族には言っちゃいけないんじゃないかって、気づくんだよね。何かがまずいって本能的に察するっていうか」
ミヤコ「そう。あの話の怖さって、“幽霊”よりも、“ルールを破ってしまったことによって起きる日常から非日常への変化”なのよね」
登場人物に見える異常な空気感
ハルカ「でもさ、普通の家でさ、“おじさんがいる部屋”があって、“中をのぞいたら人がいた”って、それだけだったら大したことないと思うじゃん?」
レイジ「まあ……言ってしまえば“引きこもりの親戚がいる”ってこともあるし?」
ミヤコ「その視点も確かにあるけど、あの話ではその“おじさん”が普通の人間じゃない可能性が強く示唆されているの。例えば“ドアを見た瞬間、頭の中に声が響いたように感じた”とか、“部屋の空気だけ時間が止まっているようだった”っていう話とかね」
ハルカ「やばいのはさ、その後、友達の家に行ったら、その部屋どうなってたと思う?……部屋がね、ないの。なくなってるの。最初にあったはずの“おじさんの部屋”の扉が、いつの間にか消えてるんだよ!」
レイジ「えっ、ちょっ!えっ?それって……どういうことだ?部屋ごと消えたってことか? 幻覚とか?」
ミヤコ「そこがこの話の解釈ポイントになるのよ。物理的に存在していたのに、いつの間にか無かったことになってる。“あれは何だったんだろう”って語り手が振り返って、結局“確かに見た”という記憶だけが残っている」
都市伝説的構造と考察のポイント
ハルカ「これってなんか、都市伝説っぽくもあるよね。誰かの家に異空間があって、入ったら二度と出られない、みたいな!」
ミヤコ「そうね、たしかに都市伝説の構造に近いかも。“特定の家族や家にだけ存在する異常な空間”とか“外部の人間には決して説明されない秘密”って、都市伝説やホラーの典型パターンのひとつ。特に日本の怪談では、“見てはいけない存在”、つまり、”見るなのタブー”がテーマになることが多いの」
レイジ「で、それでさ?その“おじさん”って結局は何だったの? 幽霊? それとも人間?」
ミヤコ「それがこの話のいちばん面白いところかもね。実は“おじさん”が何者かは最後まで語られないの。」
レイジ「なんだよ、それ!マジかよー!」
ミヤコ「えぇ、でも、解釈としては3パターンあると思う」
ハルカ「わぁ!さすがミヤちゃん、もうバッチリ分析できてるのね!教えて教えてー!」
考察①:監禁されていた人間説
ミヤコ「そうね。まず一番現実的なのは、“その家の人たちが誰かを部屋に閉じ込めていた”っていう説。たとえば、精神疾患のある親戚をひっそり隔離していたとか、もっとひどいケースだと“誘拐された他人”を監禁していたっていう可能性ね」
レイジ「うぇー…、やばいやばいやばい! それって実際に昔事件であったじゃないのか……」
ハルカ「たしかに。あたしも聞いたことある……たしか、女子高生が監禁されて何年も出られなかったとか、そんな事件じゃなかったっけ……」
ミヤコ「そう。実際に1990年代や2000年代に起きた“監禁事件”と構造が似てるの。監禁されていた人が長年外に出られずにいたのを、家族が“問題を隠すため”に誰にも話してなかった、というケース」
レイジ「もしそうだとしたら、友達の親も“共犯”じゃん……」
ミヤコ「そうね。実際にその可能性もあるのよ。しかもその場合は“見たことを話してはいけない”って空気は、家族ぐるみの“口止め”だった可能性がある。つまり、“おじさん”は幽霊なんかじゃなくて、“生きてる人間”だったってことになるわね」
考察②:異空間・パラレルワールド説
ハルカ「そっかぁ。でもさ、話の中で部屋が“なくなってる”っていう事実もあるわけだから、そう考えてみると、幽霊とか異世界系の要素もあると思うんだけど、どう思う?」
ミヤコ「さすがハルカね、その通りよ。2つ目の考察は、“異空間”や“パラレルワールド”系の話だと思って聞くこと。あるタイミングで、語り手だけが“あってはならない空間”を見てしまった。そして、それをきっかけにその“世界線が変わってしまった”、そういう可能性もあるかもね」
レイジ「それってもう、SFの世界じゃん……」
ミヤコ「まあね。でも、怪談って“ちょっとだけズレた世界”を感じさせる話が多いのも事実なの。例えば、昨日見たはずの建物がその翌日には消えてるとか、写真に写っていたはずの人が存在しなかったとか。“物理的に存在してたはずの何かが、いつの間にか『なかった』ことになってる”っていうのは、まさに人が恐怖を感じる構造そのものなのよ」
ハルカ「なんか、『くねくね』とか『八尺様』みたいな、“見たら終わり”系の雰囲気もあるよね」
ミヤコ「そう、“見たら終わり”っていう感覚もポイント。“見てしまった自分だけが、異世界にちょっとだけ触れてしまった”。そして、それによってもう元の世界には戻れない、っていうことにも繋がるの」
考察③:語り手自身の記憶の歪み説
レイジ「なるほどなぁ。じゃあ、3つ目っていうのは?」
ミヤコ「3つ目は、“語り手自身の記憶が改変されてる”っていう説。つまり、“実際にはそんな部屋なんかなかった”のに、自分の中で“存在してたことになってる”っていう可能性ね」
ハルカ「うわー、そういうのがいちばんゾッとするかも……」
ミヤコ「人間の記憶って簡単に改ざんされるし、例えば、小さい頃の記憶なんかは“混ざった”り“脚色”されたりしやすいの。でも、それは自分自身としてはいつだって“すごくリアル”に感じてることだから、自分の中でいつの間にか“実話”として認識してしまうの」
レイジ「えー……ってことは、オレの昔の記憶に中にも、本当は事実じゃない、そんな記憶もあるかもってこと?」
ミヤコ「そう、もしかしたら、そういう記憶もある"かも"しれないってことね。たとえば“あの時友達の家にあった変な部屋”っていう記憶が、実は“別の家”の記憶だったとか。でも、当の本人はリアルに体験したと感じているから、記憶違いだとは気づかないってこと」
この怪談が語り続けられる理由
ハルカ「なるほどねー!なんか、この話ってなんかクセになるんだよね。めっちゃ怖いんだけど、気になっちゃうっていうか」
ミヤコ「それは、“明確な答えがないまま、ずっと引っかかるタイプ”の怪談だからなのかもしれないわね。結局、あの“おじさんって何だったんだろう”って考えだすと止まらなくなるのが、この話の怖いところなのよ」
レイジ「オレもう、今夜怖くて寝れないと思うわ……」
ハルカ「いやー、でもすっごく面白かった!やっぱり怖い話ってやめられないよね!」
ミヤコ「“日常のすぐ隣にある非日常”っていう構造が、この話のいちばんの恐怖ポイントなの。どこかで実際に起きてそう、でも誰にも知られないまま終わってそう、っていう空気というか。だから都市伝説みたいな話としても残りやすいし、考察も尽きないというわけね」
ハルカ「なるほどー!すごい!なんだか、本当に勉強になるねー!」
レイジ「だったら、オレこれからは普通に勉強することにするわ…」
ハルカ「えー!それなら、これからはみんなで放課後、一緒に勉強しようよ!」
レイジ「い、いやだよ!お前らどうせ、怖い話ばっかりするんだろーが!」
ハルカ「ふふ、ご名答。」
ハルカ「まあ、いいじゃない!こういう話って、怖くても学びにもなるんだから、きっといつか何かの役に立つって!」
レイジ「知るかーーー!!」
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