【都】怪談:作り話
怪談って、ウソでもヤバいことあるの?
ハルカ「ねえ、ミヤちゃん。最近聞いた怪談で、めっちゃゾワッとしたやつがあったんだけどさ」
レイジ「また始まったよ、ハルカの怖い話。どこの話?都市伝説?廃病院?祟り系?」
ハルカ「いや、それがちょっと違ってて、お笑いの”なすなかにし”の中西さんっているじゃん?あの人が語った『作り話』っていう怪談。なんかさ、テキトーに作った怖い話が、ほんとに目の前で起きちゃうってやつ」
ミヤコ「あぁ、あれはなかなかよくできた構成の話ね。日常になぜか異物がスッと入り込んでくる不気味さがあるし、現代的な怖さも含まれているの」
レイジ「ちょっと待って。テキトーに作ったってどういうこと?作り話が現実になったってことなのか?」
ハルカ「そう!だから怖いんだって。詳しく言うとね…」
Aさんの即興怪談と“偶然”の一致
ハルカ「話の舞台はある寒い冬の日。男女6人で飲み会しててさ、『怖い話しよう』ってなったの。でもAさんはそういうのに疎くて、持ちネタもない。だから、その場で即興で怪談を考えてしゃべったんだよ」
ミヤコ「内容は、『近所の駐車場で昔、焼身自殺があった。今でも霊が出るって噂がある』っていう、ごく普通の話。創作としてはシンプルで、特になんのひねりもない話ね」
レイジ「まあ、確かにそれだけじゃ聞いた人も『ふーん』くらいで終わりそうだな」
ハルカ「でしょ?でもさ、その飲み会のあとが問題だったんだよ。Aさんが一人で帰るときに、薄着の女の人が向こうから歩いてきて、道を尋ねられるの」
レイジ「え?なんでそんな寒い日に薄着なの?」
ミヤコ「そこがまず奇妙な感じね。そして彼女が尋ねてきたのは、さっきAさんが即興で話した“あの駐車場”の場所だったの」
レイジ「えっ、それって…偶然?」
ハルカ「って思うじゃん。でもさ、道を教えて女の人が去ったあと、Aさんが歩き出すと背中からまた声をかけられるの」
ミヤコ「『…さっきの話、私のことですよね?』って…」
レイジ「うわあああぁぁっ!!ムリムリムリ!!なんで知ってんの!?っていうか、どういうこと!?」
“作り話”というタイトルの意味と怖さ
ミヤコ「この怪談の本質的な怖さって、『作ったはずの話が現実になってしまう』ってところにあるのよ」
ハルカ「そうそう。『自分が口にしたことが現実になっちゃう』っていう、言霊みたいな発想もあるよね」
レイジ「でもAさんが話したのって、ほんとにただの作り話だったんだよね?リアルにあった事件とかじゃないんでしょ?」
ミヤコ「その通り。でも逆に、それが余計に不気味さを増してる。実際にあった話じゃないのに、あまりにも現実とリンクしてるから、“自分が何かを呼び寄せた”ような錯覚に陥るの」
ハルカ「『言葉にしたことが現実になる』って、ある意味で呪いみたいじゃない?それをちょっとリアルに感じさせる話だから、余計にゾワゾワするんだよね」
「作り話」が浮かび上がらせる現代の不安
レイジ「でも、そんなことって実際にあるか?ただの偶然ってだけじゃないのか…」
ミヤコ「偶然にしては出来すぎてる。でも、そこがポイントなの。これはあくまでも“物語”として、現代の恐怖を映し出しているのよ」
ハルカ「例えば、さ。あたしたちってさ、ネットとかSNSで誰かの情報見るのは当たり前になってるじゃん。でも逆に、自分が誰かに見られてることは意識してない」
レイジ「たしかに…。インスタとかTikTokとか、自分が何見てるかは隠せるもんね。でも誰が見てるかって、わかんないよな…」
ミヤコ「この怪談は、そういう“見えないつながり”とか“無意識の影響”に対する不安を暗示してるのよ。“作り話”がいつの間にか現実になることって、現代のネット社会では普通に起きているの」
意図しない言葉が誰かを呼び寄せる
ハルカ「さ、最近さ、“呪いの言葉”とか“呟くだけで何かが起こる”系の怖い話ってよく聞かない?」
ミヤコ「たしかにそうね。昔からあるけど、“〇〇を三回唱えると何かが来る”とか、そういう話が流行る背景には、言葉そのものに何か力が宿ってるっていうことなのかも」
レイジ「オレ、そういうの無理だわ…。ちょっとでも気にするとマジで夢に出る」
ハルカ「でも、SNSの発信ってさ、ある意味“無差別呪文”みたいなもんだと思わない?見たくない人にも届いちゃったりしてさ。で、悪意じゃなくても、それが誰かに影響しちゃうとか」
ミヤコ「それは鋭いわね。Aさんの“即興怪談”も、その場ではただのネタ。でも、それが誰かに届いた瞬間、現実にリンクしたってことなのかも」
レイジ「なんか“伝える”って、こえーな…」
過去の実際の事件と重なるポイント
ミヤコ「ちなみにね、この話って実際にあった事件とは関係ないけど、“誰かが嘘で言ったことが現実化する”って類似の例はあるの」
ハルカ「例えば?」
ミヤコ「ある学校で、“あそこに幽霊が出る”ってウワサを生徒が言ったら、本当に集団幻覚が起きた例があるの。心理的な影響で実際に体調を崩した子もいたらしい」
レイジ「うわ、それもヤバい…。まさに言霊じゃん…」
ハルカ「だからさ、怖い話ってただのエンタメじゃないんだよね。人の心理にリアルに影響しちゃうことあるし。そういう意味でも“作り話”って奥が深い」
言葉が呼ぶ“現実”――それでも語りたくなる怪談の魅力
ミヤコ「この怪談が優れているのは、“口にしたことが現実になるかもしれない”っていう恐怖を、ものすごく自然な形で見せてるところなの」
ハルカ「いつのまにか自分で作ったはずの作り話の世界に迷い込んだ、みたいな話だもんね」
ミヤコ「そうね。自分がそれを呼んでしまったのか、自分がそこに迷い込んだのか、どちらにせよ”口にする”ってことがこの話のカギになっているのね」
レイジ「俺だったら、怖いからこそそういう話はやめとこうって話になるんだけどな」
ハルカ「うーん、でもさ、怖い話って聞きたくなるじゃん。怖いのにやめられない、みたいな」
ミヤコ「そこが怪談の魅力なのよ。恐怖には“共感”と“想像”があるから、人間は自然と惹かれていくの。『自分の周りでも起きるかもしれない』って考えることで、危機意識や想像力が鍛えられるって説もあるわ」
ハルカ「そう考えると、“作り話”って言葉がめっちゃ怖く感じるよね」
レイジ「オレも変なこと口にしないようにしよ…。ほんとに何か起こりそうで怖いし…」
そして、あなたの話が“誰か”を呼ぶかもしれない
ミヤコ「それともう1つ大事なのは、この“作り話”という怪談が一番怖いのは、語った本人すらその影響を予測できないこと。だからこそ、言葉の選び方には気をつけるべきなの」
ハルカ「あたしも、あんまりふざけた怪談は控えようかな…って思った」
レイジ「オレはもう怪談聞くのやめようかな…。心臓に悪いって!」
ハルカ「でもレイくん、なんだかんだ言っても、きっと次もあたしたちに付き合ってくれるんでしょ?」
レイジ「………いや、まぁ…どうだろ」
ミヤコ「ふふ、次回もレイジが怖い話に参加する可能性は100%みたいね」
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