【都】都市伝説: かしまさん

 かしまさんって何?名前の由来と都市伝説の基本

ハルカ「ねえねえ、今日は『かしまさん』の話しようよ!知ってる?」

レイジ「……ああ、もう怖そうな感じしかしないけど。名前だけは聞いたことある。女の人の幽霊なんだよな?」

ミヤコ「そう。『かしまさん』っていうのは、日本の有名な都市伝説のひとつで、たいていは“下半身のない女性の霊”って説明されることが多いの。正式名称は“カシマレイコさん”っていう場合もあるのよ」

ハルカ「カシマレイコ……名前に意味あるの?」

ミヤコ「あるわよ。“カシマ”っていうのは『カ(仮)・シ(死)・マ(魔)』を組み合わせた言葉だって言われてて、“仮の死の魔物”っていう意味になることもあるわね。あと、もうひとつ有名なのは、陸軍の施設があった“鹿島”っていう地名との関連。つまり戦争とつながる話になってるの」

レイジ「戦争?それって都市伝説っていうか、けっこう重い話じゃん……」

ハルカ「都市伝説って意外とそういうの多いよ。現実の出来事とか、事件とかにひもづいててさ。それでどんどん怖くなるの」

かしまさんの基本ストーリーとよくあるパターン

ミヤコ「一番よく知られてる『かしまさん』の話はこうよ。昔、ある女性が線路に転落して、列車に轢かれてしまった。そして上半身と下半身が切り離されてしまった……っていう事故が元なの」

レイジ「ひえっ……。それで、その女性が幽霊になって出てくるってこと?」

ミヤコ「そう。彼女の霊は、夜な夜な下半身を探して彷徨っていて、“足を返せ”って言いながら人を襲うって言われてる。しかもね、“トイレ”とか“鏡”とか“学校の階段”みたいな、人がひとりになる場所に現れることが多いの」

ハルカ「出た、学校怪談あるある!あと、変な質問されて、間違えるとやばいやつでしょ?」

ミヤコ「そのとおり。“カシマさん”に出会ったら、“私の名前を知っているか”って聞かれるの。ここで間違えると、命を奪われるって言われてる」

レイジ「え、じゃあ正解言えればセーフってこと?」

ミヤコ「いちおう、ね。“カ・シ・マ・レ・イ・コ”ってフルネームで正しく答えられれば助かるって話になってるの。ちなみに“カ”は“仮面”、 “シ”は“死”、 “マ”は“魔”、 “レ”は“霊”、 “イ”は“異形”、 “コ”は“孤独”っていう、ちょっと無理やりな解釈もあるけど、都市伝説だからバリエーションはたくさんあるのよ」

なぜ“トイレ”に出てくるのか?他のトイレ系都市伝説との関係

ハルカ「でもなんでトイレなんだろ?学校のトイレとか、なんであんなに怪談の舞台になりやすいの?」

ミヤコ「トイレって、昔から“境界”の場所って考えられてたの。清浄と不浄の間、人と神霊の間、生と死の間……そういう“あいだ”にある場所は、霊が出やすいって信じられてるのね」

レイジ「そう言われるとゾッとするな……。でも他にもトイレの話ってあるよな、“花子さん”とか」

ミヤコ「そう。『トイレの花子さん』とか『赤マント』みたいに、トイレが舞台になる都市伝説はすごく多いの。中学生や高校生が集まる学校って、“噂”が一気に広がる場所でしょ?だから、ちょっとした不安や恐怖が、都市伝説として形になりやすいのよ」

ハルカ「うちの学校にも“夜の4階の女子トイレは絶対使うな”って言い伝えあるもん……」

かしまさんはなぜ「下半身がない」のか?身体損壊の象徴として

ミヤコ「かしまさんの特徴で一番怖いのって、“下半身がない”ってことだと思うの。実際、それってただの見た目の恐怖じゃなくて、“体の損壊”っていうテーマが含まれてるのよ」

ハルカ「うわ、それ……考えるとけっこうキツイかも」

レイジ「たしかに。幽霊ってだいたい、首がないとか、顔がぐちゃぐちゃとか多いけど、かしまさんは“真っ二つ”って感じだもんな」

ミヤコ「そう。“身体が分断される”っていうのは、人間の尊厳が奪われることの象徴でもあるし、戦争とか事故の悲劇を連想させる。実際に、身体を損傷して帰ってきた兵士たちへの無理解や差別が、かしまさんのイメージと重ねられることもあるの」

ハルカ「え、それってただの都市伝説っていうより、めっちゃ社会的じゃん……」

過去の事件や社会背景との関連性

ミヤコ「たとえば、“鹿島”っていう地名。ここには昔、陸軍の施設があったの。そこで人体実験が行われていたとか、兵士の身体がバラバラになって処理されたとかいう噂があるの」

レイジ「えっ、それマジの話なの……?」

ミヤコ「事実かどうかは定かじゃないけど、少なくとも戦争の歴史と強く結びつけられてきた場所ではあるの。だから、かしまさん=戦争で失われた命や身体っていうイメージが結びついたとも考えられるのよ」

ハルカ「都市伝説って、ただの怖い話じゃなくて、社会が抱えてる“怖さ”とか“罪悪感”みたいなものも反映されてるんだね」

ミヤコ「そのとおり。“かしまさん”は一種の“記憶の亡霊”でもあるの。みんなが忘れようとしても、まだそこにある何か。それが形になって都市伝説になるのよ」

インターネットと拡散、平成以降のかしまさん

ハルカ「でもさ、昭和とか平成の初期に比べて、今って都市伝説の広がり方変わったよね?動画とかSNSとかですぐ出回るし」

レイジ「ネットで検索したら、かしまさんの話めっちゃ出てきた……。あとYouTubeで“かしまさんを呼び出す方法”みたいなのもあって、怖くて途中で見るのやめた」

ミヤコ「そうね。もともと“口伝え”だった都市伝説が、ネットの時代になって一気に拡散するようになったの。そして、誰でも“作り手”になれる時代だから、話のバリエーションもどんどん増えていくのよ」

ハルカ「たとえばどんなの?」

ミヤコ「たとえば“かしまさんに会いたいなら、夜中の3時にトイレの鏡の前で3回名前を呼ぶ”っていう召喚系のバリエーション。“会ったあと7日以内に他の人に話さないと死ぬ”っていう呪い系もあるわね。完全に都市伝説のテンプレ化してるの」

レイジ「もうそこまでくると、現代の“妖怪”みたいなもんだな」

かしまさんの意味:恐怖の中にある問いかけ

ハルカ「こうして聞いてると、かしまさんって、単なる幽霊っていうより“何かを思い出させる存在”って感じだね」

ミヤコ「そうね。さっきも言ったけど、“かしまさん”って、人が忘れてはいけないもの、見たくないものに形を与えたものなの。身体の損壊、戦争、記憶、罪悪感……そういうのを一つの姿にまとめた象徴」

レイジ「つまり、ただ怖がるんじゃなくて、考えることも大事ってことか」

ハルカ「うん!でも……やっぱ夜のトイレには行きたくないな……」

レイジ「オレ、絶対ひとりじゃ行かないって決めた。誰かについてきてもらう……」

ミヤコ「ふふ、そうやって人が誰かとつながることも、恐怖を越える手段なのかもしれないわね」

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