【都】都市伝説:猿夢
猿夢──終わらない悪夢の正体
レイジ「なあ……“猿夢”って知ってる? 昨日さ、ちょっと興味本位で怖い話のまとめサイトみたいなの覗いてみたんだけど……そしたらそれがトップに載ってたんだよ。しかも、めっちゃ怖くてさ……」
ハルカ「あたしも知ってるよ! 猿の着ぐるみが出てくる夢の話でしょ? 夢の中で電車に乗せられて、目の前で人が次々に“処刑”されるやつ!」
レイジ「そう、それ! めちゃくちゃグロいし、意味もわからないし、怖すぎて夜眠れなかった……」
ミヤコ「ふふ。猿夢は都市伝説の中でも、“夢”というテーマを使った心理的恐怖が強い話ね。じゃあ、今日はその猿夢について徹底的に話してみようかしら」
猿夢とは?──語られる内容の全貌
ハルカ「猿夢の話って、もともとは『2ちゃんねる』で投稿されたんだよね。投稿者は“本当に見た夢”って言っててさ、それがもう、めちゃくちゃ怖いの」
レイジ「どんな内容だったっけ? なんか断片的にしか覚えてない……」
ミヤコ「話の内容はこうよ。語り手は“夢”の中で見知らぬ場所のホームに立っていて、電車に乗せられるの。その中にいるのが“猿の着ぐるみ”を着た車掌。電車は一両ずつ進んでいくんだけど、各車両に“処刑装置”があって、乗客が次々に殺されていく……という夢なの」
ハルカ「最初の車両は“潰しの部屋”。乗客が天井と床でプレスされて……次が“焼きの部屋”、その次が“切り裂きの部屋”とかで、どんどん残酷になるのよ」
レイジ「うわああ……グロすぎて想像が追い付かない……!」
ミヤコ「最終的に、夢の中の“自分”が次に殺される番になるんだけど……そこで目が覚めるのよ。でも、次に寝たとき、“その続きを見る”という構成が特徴なの」
ハルカ「そう! しかも夢の続きを見てしまって、最終的には本当に“夢の中で殺されて”……ってところで、語り手の投稿が終わってるの」
猿夢の何が怖いのか──夢の構造がもたらす不安感
レイジ「いやさ、なんでそんな話が流行るの? グロいし、寝れなくなるし、なんであんなに有名なんだよ……」
ミヤコ「猿夢が有名なのは、夢という“現実との曖昧な境界”を使ってるからじゃないかしら。現実か夢かわからない不安定さが、人間の本能的な恐怖を刺激するのよ」
ハルカ「たしかに夢って、コントロールできないし、しかも猿夢は“続く”ってとこがまたイヤだよね。“夢で終わらない夢”って感じ?」
ミヤコ「そう。“夢の続きを見る”って体験、実際にある人もいるでしょう? だからこの話には、フィクションとリアルが曖昧に混ざってるの」
レイジ「夢の中で死んだら現実でも死ぬ、みたいな都市伝説あったよな?」
ミヤコ「それね。“夢死説”って言って、猿夢もその延長線上にあるの。夢の中で死んだ人は二度と起きない、つまり現実でも死亡する……という考え方に乗っかってるの」
ハルカ「つまり猿夢って、ただ怖い話ってだけじゃなくて、“自分も見てしまうかも”っていうリアルな恐怖を作ってるんだよね」
猿夢のモチーフと構造分析
ミヤコ「さらに面白いのは、この話にいろんな要素が混ざってる点ね。例えば“電車”というモチーフ。“終点”という概念、“処刑装置”という異常空間、そして“猿”という不気味な存在」
レイジ「電車ってさ、日常のものじゃん。でもそれが“死”とつながると、一気に怖くなるんだよな……」
ハルカ「“夢の中の電車”って、前に見たことあるけど、乗ったら戻れないとか、降りられないとか、よくあるパターンだよね。猿夢もそれに近い!」
ミヤコ「“電車=死への旅路”という意味もあるわね。“三途の川”の現代版みたいな。しかも、車両を移動しながら残酷な目に遭うって、まるで地獄巡りみたいじゃない?」
レイジ「じゃあ“猿の車掌”ってなんなんだよ……あれが一番意味わかんないし怖い!」
ミヤコ「あれはたぶん、子どものころの記憶とか、動物園のイメージが混ざってるんじゃないかしら。猿って、本来は人間に近い動物だけど、着ぐるみになることで逆に“不気味の谷”みたいな不安を呼び起こすの」
現実の事件との関連性──“猿夢”は何から生まれた?
ハルカ「でさ、この話って完全な創作なの? それとも元ネタあるの?」
ミヤコ「直接の事件との関連は明確じゃないけど、似たような“夢で死ぬ系”や、“電車で起こった事件”はあったわ」
レイジ「事件……? どんなの?」
ミヤコ「例えば、1980年代から90年代にかけて、“通り魔的な電車内事件”や、“線路に突き落とす事件”が何件か起きてるの。電車って“安全な日常”の象徴だけど、それが突然“恐怖”に変わることがあるという社会的背景があるのよ」
ハルカ「つまり、“電車=日常”が、“死”や“暴力”とつながることへの無意識の不安が、猿夢に投影されてるってこと?」
ミヤコ「そうね。さらに、猿夢が生まれた当時、インターネットでは“夢日記”や“夢の連作”が流行してたの。その時代の雰囲気も影響してるんじゃないかしら」
ネット文化との関係──猿夢が広まった背景
レイジ「猿夢って、けっこう古い話なんだよな? でもなんで今でも語られてるんだ?」
ハルカ「たぶんネットの“コピペ文化”が大きいよ。怖い話って再投稿されるし、“続きがある”とか“見てしまった人への警告”みたいに加工されて広まるからさ」
ミヤコ「2000年代前半、インターネット掲示板で“意味がわかると怖い話”が流行したの。その中で、“猿夢”は異色だったのよ。“夢”という個人的な体験が他人に伝染する形だからね」
レイジ「夢が伝染……最悪じゃん……」
ハルカ「でもそういう“メディア感染”っぽい話って、今の時代にも通じるよね。SNSとかで“怖い話シェアされたら見るしかない”みたいなやつ」
ミヤコ「まさに“情報ウイルス”ね。“読んだら夢に出る”という呪い的な構造も、ネットならではの怖さかしら」
夢と現実の境界が消えるとき──猿夢が投げかける問い
レイジ「あのさ、あんな夢ってホントに見る人いるのかな?」
ミヤコ「いるのよ。“夢診療”の分野でも、“繰り返し見る悪夢”という現象があるの。“PTSD”の症状でよく見られるわ」
ハルカ「あたしも小さい頃、同じ夢何回も見たことあるな。追いかけられる夢とか。そういうのって、現実の不安と関係してるの?」
ミヤコ「関係あるわね。ストレス、不安、未処理の感情が夢に出るの。“猿夢”みたいに“進んでいく地獄”を見続けるのは、心の奥にある“止められない不安”の象徴とも読める」
レイジ「つまり、“猿夢”って、人間の不安そのものってことか……」
猿夢を見ないために──現代に潜むもう一つの教訓
ハルカ「じゃあ、猿夢を見ないようにするにはどうしたらいいの?」
ミヤコ「簡単よ。“深く考えすぎないこと”。あと、“自分の意識”を取り戻すために、現実に集中する。たとえば、起きたときに夢日記をつけるとか、寝る前にスマホ見ないとかね」
レイジ「オレもう絶対見たくないから! 夢占いの本買ってこようかな……」
ハルカ「レイくん、それは逆効果ってパターンかもよ?」
ミヤコ「ふふ……“恐怖”を見つめすぎると、それが夢の素材になるの。怖がりすぎるのが一番ダメなのよ」
終点:猿夢という終わらない物語
ハルカ「ってことは、猿夢ってただの怖い話じゃなくて、“人間の不安”を夢の中で可視化したものってことなんだよね」
ミヤコ「そう。“終わらない夢”ってのは、“終わらない心の問題”の象徴でもあるわ。猿夢が語られ続けるのは、それだけ“みんなが心のどこかに抱えてる恐怖”を刺激してくれるからなの」
レイジ「なんか、夢に出そうだよ……!」
ハルカ「じゃあ今日の夢では、あたしが猿の車掌やってあげる!」
レイジ「猿の車掌になって何する気だよ!やめてくれえええ!」
ミヤコ「……ふふ、夢は意識の鏡。今これを読んでいるあなたは今夜どんな夢を見るのかしらね」
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