日本神話:ヤマタノオロチとクシナダ姫の物語
ヤマタノオロチとクシナダ姫の伝説とは?
タケル「先生、今日はちょっとオレが気になってた話、聞いてもいい?」
ミコ「タケルが神話に興味なんて、めずらしいじゃない。雪でも降るかもね」
タケル「うるさいな。こないだゲームで“ヤマタノオロチ”って敵キャラが出てきたんだよ。カッコいいけど、実際は何者なんだ?オレ、全然知らない」
久遠先生「ふふ、ヤマタノオロチを知ってるのね。じゃあ今日はその伝説と、関係するクシナダ姫、それに歴史的な意味も話してみようかしら」
ミコ「やった!ヤマタノオロチって、八つの頭と八つの尾を持つ大蛇よね?確か、スサノオと戦ったっていう」
久遠先生「その通りよ。出雲の国に伝わる伝説で、日本神話の中でもとても有名な話なの」
――――――――――――――――――
スサノオと出雲への旅立ち
久遠先生「スサノオは天照大神の弟で、ちょっと問題児だったの。高天原で暴れて追放されて、地上に降りることになるのよ」
タケル「つまり、天界を追い出されたってこと?」
ミコ「そう。で、降り立ったのが出雲の国、今でいう島根県のあたり」
久遠先生「そこでスサノオは泣いている老夫婦と出会うの。彼らの娘たちは、毎年ヤマタノオロチに食べられてしまったと語るの」
タケル「そんなの絶対許せないだろ!」
久遠先生「そうね。スサノオも同じ気持ちだったのよ。そこで彼は、最後に残った娘クシナダ姫を助けるために、オロチ退治を決意するの」
ミコ「クシナダ姫って、美しい姫だったって話よね。スサノオ、一目惚れだったのかも」
タケル「恋愛展開、出たな…」
――――――――――――――――――
ヤマタノオロチ退治の方法とは?
タケル「でもさ、八つの頭と尾がある怪物って、どうやって倒すんだ?」
久遠先生「スサノオは力だけじゃなくて、知恵も使ったの。ヤマタノオロチが酒好きだと聞いて、大量の酒を用意して、飲ませて眠らせたのよ」
ミコ「それ、今でいう“トラップ戦術”ね」
タケル「酔わせてから倒す…なかなか頭いいじゃん!」
久遠先生「そして酔って動けなくなったところを、一気に斬ったの。八つの頭と尾を次々と」
タケル「そのとき、尾の中から剣が出てきたって聞いたことある」
久遠先生「そう、“草薙剣(くさなぎのつるぎ)”よ。のちに天皇の三種の神器の一つになる剣ね」
――――――――――――――――――
クシナダ姫との結婚とその後
ミコ「で、スサノオとクシナダ姫は結ばれるのよね。ロマンチック」
タケル「結婚できてよかったけど、スサノオはまた天界に戻ったの?」
久遠先生「いいえ、彼はそのまま出雲の地に残って、暮らすの。クシナダ姫と一緒に」
タケル「戦って、勝って、結婚して、平和になったってことか。すごいな」
ミコ「でも、スサノオって問題児だったはずなのに、ちゃんとヒーローしてるのが不思議」
久遠先生「そこが神話の面白いところ。スサノオは粗暴な面と英雄的な面の両方を持っているのよ」
――――――――――――――――――
ヤマタノオロチの正体って?
タケル「先生、でもさ、ヤマタノオロチって、本当にいたの?」
久遠先生「いい質問ね。実は、ヤマタノオロチには自然現象や歴史的な事件の象徴とする説もあるの」
ミコ「たとえば、洪水とか火山とか?」
久遠先生「そう。八つの頭は支流を意味していて、ヤマタノオロチは暴れる川を象徴しているという考えもあるの。出雲地方は川が多いから」
タケル「川が家を流していくのを、巨大な蛇にたとえたってことか?」
久遠先生「そのとおり。そして、スサノオが川を治めて村を守ったという民話が、神話として語り継がれたとも言えるのね」
――――――――――――――――――
草薙剣と天皇家のつながり
ミコ「さっきの草薙剣って、天皇家の神器になったんだよね?どうつながっていくの?」
久遠先生「スサノオの子孫であるオオクニヌシから、さらに代々続いて、アマテラスの孫・ニニギノミコトが地上に降りる“天孫降臨”があるの。彼が持っていたのが三種の神器」
タケル「えっ、スサノオの剣が、アマテラスの孫に?」
久遠先生「一度アマテラスに献上されたとも言われているの。そしてその後、ヤマト政権が神器として受け継いでいくのね」
ミコ「つまり、神話と天皇家の権威が、草薙剣でつながってるのね」
久遠先生「そう。だからこの神話は、単なる伝説じゃなくて、政治的な意味も含まれていると考えられるのよ」
――――――――――――――――――
出雲とヤマトの関係とは?
タケル「オレ、ちょっと気になることがある。スサノオって出雲の神様だろ?でも天皇家ってヤマトじゃん」
久遠先生「鋭いわね。出雲とヤマトは、古代の権力闘争の象徴とも考えられているの」
ミコ「つまり、スサノオは出雲系の神で、アマテラスはヤマト系?」
久遠先生「そう。そしてその二つの流れが、神話の中で兄妹という形で関係づけられたの。最終的には、出雲の神々がヤマトに譲るという“国譲り”が起こる」
タケル「それって、実際の出雲勢力がヤマト政権に吸収されたってこと?」
久遠先生「そのように見る研究者もいるわね。神話は、歴史を正当化するための物語でもあるの」
――――――――――――――――――
神話と現代の文化への影響
ミコ「今でもヤマタノオロチって、いろんなゲームや漫画に出てくるわよね」
タケル「オレが知ってるのは、ポケモンにも似たのが出てたな」
久遠先生「そうね。ヤマタノオロチのような多頭の龍や蛇のイメージは、現代のファンタジー作品にも影響を与えてるのよ」
ミコ「しかも、クシナダ姫がアイドルとかにリメイクされたりしてるし」
久遠先生「神話は時代と共に形を変えながら、今も生きているの。だから、ただの昔話と思わずに、今の世界の成り立ちにもつながるものとして見てほしいの」
――――――――――――――――――
まとめ:ヤマタノオロチが教えてくれること
タケル「先生、今日の話、めちゃくちゃ面白かった!」
ミコ「うん、クシナダ姫とスサノオの恋、ヤマタノオロチの象徴性、草薙剣の伝承まで盛りだくさん!」
久遠先生「そうね。この神話は、ただの怪物退治じゃなくて、自然、歴史、政治、信仰、すべてが詰まっているの。だからこそ、ずっと語り継がれてきたのよ」
タケル「神話って、なんか難しいって思ってたけど、実は奥深くてカッコいいな」
ミコ「ふふ、これでタケルも神話マニアの仲間入りね」
久遠先生「それもいいかもしれないわね。神話を知ることは、自分たちのルーツを知ることにもつながるの。これからもいろんな物語を楽しんでほしいわ」
コメント
コメントを投稿