日本神話:天照大御神の物語
天照大御神とはだれ?
タケル「なあミコ、天照大御神って知ってる?」
ミコ「もちろん。日本神話の中でも一番有名な女神よ。太陽の神様なんだから」
タケル「太陽の神ってことは、太陽を動かしてるの?」
久遠先生「ふふ、それはいい質問ね。実際には太陽そのものを神格化した存在なの。『天照大神』とも書かれて、『あまてらすおおみかみ』と読むの」
天照大御神ってどんな神?
ミコ「天照大御神は、イザナギとイザナミから生まれた子どもよね?」
久遠先生「正確には、イザナギが黄泉の国から帰ってきたあと、禊(みそぎ)をしたときに生まれたの。左目を洗ったときに生まれたとされているわ」
タケル「目を洗ったら生まれるって、どういうこと?」
久遠先生「それはね、体を清める行為=新しい命の創造っていう考え方が、古代にはあったのよ」
ミコ「じゃあ、太陽の神ってことは昼をつかさどってるの?」
久遠先生「そうね。日本神話では、天照大御神が太陽の光を世界にもたらしているとされているの」
天岩戸(あまのいわと)事件
タケル「でもさ、なんかの神話で、天照が隠れて世界が真っ暗になったって聞いたぞ」
久遠先生「それは『天岩戸神話』ね。有名なお話よ。弟のスサノオが乱暴を働いて、天照が怒って岩戸の中に閉じこもっちゃうの」
ミコ「それで世界が闇になっちゃったのよね」
久遠先生「そう。太陽の光がなくなったことで、神々も人々も困り果ててしまったの」
タケル「それ、どうやって戻ってきたんだ?」
久遠先生「アメノウズメという女神が踊りを踊って、みんなで大笑いしたの。気になった天照がちょっとだけ岩戸を開けたところを、他の神がその隙に引っ張り出したのよ」
ミコ「そのとき鏡を使ったって本で読んだ!」
久遠先生「そう。八咫鏡(やたのかがみ)という神聖な鏡を使って、自分の姿を映して興味を引いたのよ」
神の象徴「三種の神器」
タケル「その鏡って、今もあるの?」
久遠先生「あるとされているわ。伊勢神宮の内宮に祀られている八咫鏡がそれね。三種の神器のひとつよ」
ミコ「剣と玉もあるのよね?」
久遠先生「ええ、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)、そして八咫鏡。この三つが皇位のしるしとして代々伝えられているの」
タケル「マジで?じゃあ今の天皇もそれを受け継いでるのか」
久遠先生「形式的にはそうね。即位のときにそれらを受け取る儀式があるの」
天照大御神の性格と神性
ミコ「でも、どうして天照って女の神様なんだろう?」
久遠先生「それも興味深いわね。多くの文明では太陽神は男性で、月の神が女性ということが多いの。でも日本神話では逆なの」
タケル「月読命が男なんだよな」
久遠先生「そう。日本では、太陽の力を育む優しさや包み込むような光のイメージから、女性の神が選ばれたのかもしれないわね」
ミコ「しかも、天皇の祖先ってことにもなってるんだよね?」
久遠先生「その通り。天照は孫のニニギノミコトを地上に降ろして、そこから日本の皇室につながるとされているの」
伊勢神宮と天照信仰
タケル「伊勢神宮って、なんであんなにすごい場所って言われてんの?」
久遠先生「伊勢神宮の内宮は天照大御神を祀る最も神聖な場所とされていて、2000年以上も続いているの。皇室も代々お参りしてきたのよ」
ミコ「20年ごとに建て替えるんだよね?」
久遠先生「そう、式年遷宮というの。神殿を新しくして、神様に新しい家を提供するという考え方なの」
タケル「なんか現代でも、神様にちゃんと家を建て替えてんの、すげーな」
現代とのつながり
ミコ「今も天照大御神って信仰されてるの?」
久遠先生「もちろんよ。お正月に初詣に行く神社の多くも天照を含む神々を祀っているし、天皇の存在とも深く関わっているの」
タケル「日本って神様多いよな」
久遠先生「八百万(やおよろず)の神と言われるように、自然や物にも神が宿ると考えられてきたの。それが日本の神道の特徴なのよ」
ミコ「天照は、その中心にいるってことね」
久遠先生「そうね。太陽のように、全てを照らす存在として今も敬われているのよ」
天照の物語の解釈
タケル「でも先生、それって本当にあったことなのか?」
久遠先生「歴史というより、神話は文化や価値観を表す鏡なの。実際に起きたことではなくても、大切な教えや思想が込められているの」
ミコ「たとえば、光が失われたら世界はどうなるかってことを教えてるのよね」
久遠先生「そう。そして、協力することで困難を乗り越えられることも示しているわ」
タケル「神様の話だけど、人間の生き方にも通じるってことか」
久遠先生「そういう視点を持てるのは素晴らしいわね」
おわりに
ミコ「やっぱり神話って面白いね」
タケル「ちょっと難しかったけど、太陽が隠れたら世界が闇になるって、すごく想像できた」
久遠先生「神話は想像力を働かせる物語なの。そして、その中に人々の願いや知恵が込められているのよ」
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